「道」とは

武道、茶道、華道、書道、香道。日本には「道」とつく習い事が多い。私も色々な「道」に触れてきました。その中で共通していた事柄は何だったのか。そしてそれらを学んだ事から、私は何を自分の門徒達に教えてあげる事が出来るのか。常に考えています。緊急事態宣言で休館しているので、そんな考えに耽りながら沼野利和先生が書かれた記事を読んでいたら、以下のような文章が目に留まりました。


「経験価値を向上させる戦略的経験価値モジュールを提唱したバーンド・H・シュミット教授は5つの要素で経験価値を整理している。


(1) 「感覚的価値(Sense)」 五感で感じる

(2) 「情緒的経験価値(Feel)」 感情や気分に表れる

(3)「創造的・認知的経験価値(Think)」

   新たな知識や考え方を知り、より好奇心が刺激される 

(4)「肉体的経験価値とライフスタイル全般で得られる価値(Act)」

   自分の身体を動かした感覚やその経験が普段の生活に役立つと思える 

(5)「準拠集団や文化との関連付け(Relate)」

同じ組織に帰属している、同じ文化を共有しているという安心につながる」      


これを読んで、頭の中で整理できていなかった事が整理できたような気がします。「そうか。私が教えて、継承できる事。それは多様な経験による「経験価値」なのだ」と。

感覚的価値(Sense)」武道だけでなく、どの「道」も繊細な感覚はとても大切になります。 武道は視覚、触覚、聴覚。茶道は他の「道」にない味覚を感じられます。 香道は1回しか習った事がないのですが嗅覚ですね


情緒的経験価値(Feel)」武道では、相手の感覚や動きを読まなければなりませんし、自分も平常心を保たなければなりません。茶道では、よく先生が。「茶を準備する側の心や手間もきちんと気づくようにしないと駄目よ。ただ飲んでいれば良いのではないの。」「心と動作が一体になった時に入れた茶は、とっても美味しいの。」とおっしゃっていたのを思い出します。


華道も、自分の心の状態が活け方に表れます。気持ちが沈んでいたり、荒れている時は、そのような感じの活け方になります。また気持ちが落ち着いている時や、幸せに満ちている時にはそれが表れます。逆に良い気分になりたいので、華やかに活けて気分を変えるようにも出来ます。書道でも感情がとてもよく表れます。落ち着いた気持ちで集中して書けば、そのような字になりますし、字で自分の気持ちを表現することも出来ます。


創造的・認知的経験価値(Think)」

武道には数え切れない程の技があり、既に覚えた技であっても常に新たな発見があり、永遠に学ぶ事ができます。茶道も華道でもそうです。覚える事は数え切れない程あり、例え先生と呼ばれるようになっても学びは絶えません。関わる人や花の種類が異なれば、新たな経験による新たな知識が好奇心を刺激してくれます。


肉体的経験価値とライフスタイル全般で得られる価値(Act)」

茶道の先生の「今日習った事は全部忘れてもいいのよ。また来た時に繰り返しますから。ちゃんと体が覚えるから。」


華道の先生の「お花が一番美しく見えるように生けてあげましょうね。」「お花に優しい思いを込めて大切に扱ってあげてね。」


書道の先生の「一つ一つの字には流れがあるのよ。その流れに自然に沿って丁寧に書きましょう。」


それらの言葉は、全て私が武道を指導する上で役に立っています。そして実生活でも学んだ事が活かされています。


準拠集団や文化との関連付け(Relate)」

武道では生徒を門徒と呼びます。入門時に私はこのように門徒の意味を説明します。「我が流派、稔心流武道に入門されたという事は、あなたは門をくぐって私達の仲間として入って来られたという事です。私達は一つ屋根の下にいるようなものですから、家族のようなものです。共に考え、共に助け合い、共に成長しましょう。そして私達に継承されている技を守り伝えながら、その技をより進歩できるように努めましょう。」と。


私が学んだ様々な「道」から教えてあげられる「経験価値」。それが門徒達の人生の道をより豊かなものになるように、お手伝いできたら嬉しいと思っています。


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