己に克つーレジリエンス

新型コロナ感染拡大が昨年3月から始まって、日本各地で未だに病床は逼迫している現状。今まで出来た事が出来ない状況に、多くの人の心はスッキリせず、やるせない気持ちのまま日々の仕事や出来る事をこなしていらっしゃるのだと思う。



前回は自然の流れに任せる「行雲流水」でいこう!と言った私も、稽古ができない日々が続き、筋トレや日々の家事をこなしながらも、この状況の中、いつからどのように指導していけば、指導者と門徒の健康を確実に守りながらも楽しんでもらえる稽古が出来るだろうかと煩慮し途方にくれることもある。換気、密、手洗い&消毒、互いに触れない稽古にしても100%感染しない保証はない。昨年も多分今年も合宿は中止となり、師範や先生方、遠方に行った門徒達に会う事も叶わなかった。それでも私を応援し続けて下さっている先生方や、稽古を楽しみにして待ってくれている門徒を想い、近い未来の為に今だからこそ出来る行動をするようにしている。


合気道では「受身」を一番最初に習う。そして「受身」は自分を守る一番大切な事として、毎回の稽古で練習をする。杵淵師範がよくおっしゃっていた。「受身は負けじゃない。例え相手の攻撃を受けても大切な頭や脊髄を守れば、立ち上がれる事が出来る。」と。


新型コロナ感染だけでなく、日常の挑戦や困難において、誰でも傷ついたり耐えきれなくなったりする事もある。それでも、一番大切な命や大切な人達が無事であれば、私達は立ち上がれる。「受身」は常に練習しなければならない。何千何万回と練習して、不意の攻撃にも受身を取れるよう、体に染み込ませなければならない。新型コロナウイルスもコロコロと形を変えていく。その変化に私達受ける側も合わせていかなければならないから、色々な受身をしなければならないだろう。


幕末の薩摩藩で活躍した西郷隆盛も「人は己に克つを持って成り自ら愛するをもって敗るるぞ」と言っていた。自分に打ち克つ人は成功し、自分に甘い人は失敗するという意味だ。何か問題があっても、それを柔軟に受け止め立ち上がる力を持つ必要がある。その為には努力も必要である。毎回の稽古で練習するように、心も経験によって練習を積み重ねていかなければならない。傷ついても立ち上がる訓練をする事により、この「己に克つ」つまり「レジリエンス」は高められていくのだと思う。


故望月師範や杵淵師範の「己に克つ」の姿勢を学んでいたお陰で、私も困難な状況から何度も立ち上がる事が出来た。6年ほど前に全頭脱毛症で髪やまゆ毛を全部失っても、門徒に合気道指導を続ける為、かつらやターバンをつけながら合気道指導やジムで筋トレやZUMBAクラスにまで出席していた。そして髪がない事を子供の門徒達以外には公表し、病気を受け止めながら生活する事が出来た。勿論髪を失って平気な程私は強くはなく、何度も泣いたけれど涙を拭いながらも前に進めた。ステロイド治療とその前向きな気持ちのおかげか、今はフサフサと綺麗な黒髪が生え戻っている。そして現在は結節性多発動脈炎という病気にもかかっているが、毎月の検診を受け、薬を飲みながら病気と共に生活している。(現在は皮膚型なので症状は皮膚のみ)今回のコロナ感染拡大の為、仕事を失ったり、大切な人を失ったり、ストレスで心が病んだりと色々な困難に直面している方が多い。私はそれぞれの方の気持ちや立場を完璧に理解はできていないかもしれない。それでも皆さんには、辛くて泣きながらも涙を拭って「己に克つ」でもう少し頑張ってもらいたいと思う。ワクチン接種が始まり、少し希望の光が見え始めた今。皆さんのレジリエンスを信じて頑張ってほしい。


困難な状況と戦う「己に克つ」の力強い実例を見せてくれる方々が、皆さんの周りにも沢山います。大きなリスクにおけるストレスと疲労を抱えながらも、認知症の母を迎えに来てくれるデイサービスの介護者の方達には、本当に頭が下がり深く感謝しています。そしてご多忙の中、かかりつけでないのにも関わらず、両親のワクチン接種についての質問に丁寧に答えて下さり、また予約は可能だったかどうかと気にかけてご連絡を下さったお医者様にも、感謝の気持ちと尊敬の念でいっぱいです。


尽力されている医療従事者の皆様、介護職の皆様へ心からの敬意と感謝の意を表します。 そして、皆さんも「己に克つ」で直面しているあらゆる課題や困難を乗り越えましょう!

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